絶望から始まる物語
とある青年が居る。
彼は30歳に差し掛かったあたりから、何か生きづらさ、苦しさを感じていた。
これはちょっとおかしいのではないかと色々原因を調べたところアダルトチルドレン、機能不全家庭という言葉に辿り着いた。
自分の自覚していることや、過去の親の態度を思い出してもおそらく間違いないだろうと感じていた。
そして意を決し専門家に聞いた所、生きづらさの原因は間違いなく家庭環境の問題であるとはっきり告げられた。
自分では恐らくそうであろうと自覚していたものの、はっきりと他者から言われるとまた別の絶望感を味わった。
「理不尽だ、あまりにも理不尽だ。。。ふざけるな、なんで俺なんだ。。。」
それはそうだ、彼は何も罪を犯してはいない。
どちらかというと社会的には真面目に生きてきた方である。
だが、残念ながら子は親を選べない。
そして、同じような境遇の人間以外は誰もこの苦しみは本質的には理解してはくれない。
表面だけの慰め、同情なんぞは余計に苦しくなる。
「お前も同じ境遇になったら今と同じような事が言えるのか?」
と問いただしてやりたい。
なぜ自分はこのような目にあわなければならないのか。。。
延々と自問自答が続いた。
だがこのまま悩んでいても風向きは変わらない。
暫くの絶望の後、彼はこの運命を受け入れることにした。
他人よりもハンデはあるのであろう。
ゲームでいうなれば恐らくハードモードだ。
だが、これは成すべきことなのであろう。
そう決意した瞬間に少しばかり光が差し込んできた。
これは希望の光であろうか???
戸惑いを感じつつも彼は前に向かって歩き始めた。
絶望し全てを受け入れた人間だけに手に入る物がある。
彼をその資格を得たのだ。